縁結び
水稲品種としての**「縁結び」**(登録番号:第26690号)は、近年、中部地方や長野県などを中心に作付が広がっている注目の民間育成品種です。
お土産品としての「縁結び」ブランドとは別に、農業の現場では**「おいしくて、たくさん獲れて、病気に強い」**という三拍子そろった高性能な品種として知られています。
1. 系統と誕生の背景

  • 親の組み合わせ: 「夢ごこち」 × 「ホシアオバ」

    • 夢ごこち: 低アミロース米に近い、非常にモチモチとした極良食味品種。

    • ホシアオバ: 収穫量が非常に多い多収性品種。

  • 育成: 民間の「中島美雄商店(中島稲育種研究所)」によって開発されました。

  • 名前の由来: 「お米を通じて多くの人とのご縁を大切にしたい」という願いから命名されました。

2. 味・食感の特徴

  • 食味: 親である「夢ごこち」の良食味を引き継いでおり、**「極良食味」**と評価されます。

  • 粘りと甘み: タンパク質含量が低め(約5.5%程度)で、程よい粘りと強い甘みがあります。

  • 粒感: 粒がしっかりしており、炊き上がりのツヤが非常に美しいのが特徴です。冷めても硬くなりにくいため、おにぎりやお弁当にも適しています。

3. 栽培上のメリット(農家目線の特徴)

  • 多収穫: 比較対象となる「日本晴」などと比べて約2割ほど収量が多い(10アールあたり12俵前後を目指せる)とされています。

  • いもち病に「極強」: 稲の天敵である「いもち病」に対して非常に強い抵抗性を持っており、農薬の使用回数を減らせるメリットがあります。

  • 倒れにくい: 茎(稈)が非常に太くて丈夫なため、風雨による倒伏に強く、機械での収穫作業がスムーズに行えます。

4. 主な産地

特定の県だけで作られているわけではなく、現在では長野県、岐阜県、三重県、新潟県、富山県など、東北南部から西日本にかけて広く産地品種銘柄として登録・栽培されています。
まとめ:どんなお米?
「コシヒカリ」を超えるようなしっとりとしたモチモチ感(夢ごこち由来)を持ちながら、農家にとっては作りやすく、たくさん収穫できる画期的な品種といえます。
水稲品種「縁結び」は、親品種である「夢ごこち」譲りの強い粘りと甘み、そして「ホシアオバ」譲りのしっかりした粒感が特徴です。
圧力IH炊飯器で炊く場合、その「粘り」と「弾力」を最大限に引き出すためのポイントをまとめました。
1. 水加減のポイント
「縁結び」は低アミロース米に近い性質を持っているため、通常のコシヒカリなどに比べてやや少なめの水加減にするのが、粒立ちを良くするコツです。

  • 基本の水量: 炊飯器の目盛り通り。

  • おすすめの調整: シャキッとした粒感を楽しみたい場合は、目盛りから1〜2mm程度少なめに調整してみてください。

    • ※圧力IHは密閉性が高く水分が逃げにくいため、水が多いと「縁結び」特有の強い粘りが勝りすぎて、少しベチャつきを感じる場合があります。

2. 浸水時間は「しっかり」と
圧力IHは高温で一気に炊き上げますが、芯までふっくらさせるには事前の浸水が欠かせません。

  • 夏場: 30分程度

  • 冬場: 1時間程度

    • しっかり水を吸わせることで、加熱時にデンプンが効率よく糊化(α化)し、冷めても美味しいモチモチ食感になります。

3. おすすめの炊飯モード
圧力IH炊飯器には様々なモードがありますが、品種の特徴に合わせて使い分けるのがおすすめです。

  • 「もちもち」または「熟成」モード:

  • 「しゃっきり」モード:

4. 炊き上がりの「ほぐし」
炊き上がりのブザーが鳴ったら、すぐに蓋を開けてほぐしてください。

  • 理由: 圧力IHで炊いたご飯は、そのままにしておくと余分な蒸気が粒の表面に戻り、食感が損なわれてしまいます。

  • 方法: 釜の底から空気を抱き込ませるように、大きく「切るように」混ぜることで、表面の余分な水分が飛び、美しいツヤが出ます。

ワンポイント・アドバイス
「縁結び」は、「おにぎり」にするとそのポテンシャルが一番よく分かります。圧力IHで炊いた際のモチモチ感が、冷めた時に心地よい弾力に変わるからです。
もし炊き上がりが少し柔らかすぎると感じたら、次は「白米急速」モードを試してみてください。吸水時間を自分でしっかり取った上で急速モードで炊くと、表面がしっかりした粒立ちの良い仕上がりになります。
お手持ちの炊飯器に**「銘柄炊き」機能がある場合、もし「縁結び」がなければ、系統の近い「ミルキークイーン」や「夢ごこち」の設定を試してみるのも一つの手です。

土鍋炊飯について
水稲品種「縁結び」を土鍋で炊く場合、その最大の特徴である**「低アミロース米譲りの粘り」と「しっかりした粒感」**を活かすのがポイントです。
土鍋は炊飯器よりも火力が強く、お米の甘みを引き出す力が強い一方で、水加減を間違えると粘りが強く出すぎてしまうことがあります。「縁結び」を土鍋でおいしく炊くための、黄金の手順をご紹介します。

1. 準備(洗米と浸水)

  • 洗米: 最初の水はすぐに捨ててください(ヌカ臭さを吸わせないため)。その後は指を立てて優しく2〜3回、サッと洗う程度で十分です。

  • 浸水(最重要): 夏は30分、冬は1時間を目安に浸水させます。「縁結び」は吸水が良いため、しっかり芯まで水を含ませることで、土鍋の高温でもムラなく炊き上がります。

  • 水加減: 米1合に対して、水180ml〜190mlが基本です。

    • 粒を立たせたい場合は180ml(同量)

    • もっちり感を強めたい場合は190ml(1割増)

2. 炊き上げ(火加減の目安)
土鍋の種類やコンロによりますが、基本は**「中火 → 弱火 → 蒸らし」**の3ステップです。

  1. 中火(約10分): 土鍋に蓋をして火にかけます。沸騰して蓋の隙間から勢いよく湯気が出てくるまで加熱します。

  2. 弱火(約10分): 湯気が弱まってきたら火を弱めます。「縁結び」は焦げやすい糖分を含んでいるため、とろ火に近い弱火でじっくり火を通します。

  3. 強火で追い炊き(10秒): 最後に10秒だけ強火にすると、余分な水分が飛び、香ばしい「おこげ」ができます。

3. 仕上げ(蒸らしとほぐし)

  • 蒸らし(15分): 火を止めたら絶対に蓋を開けずに待ちます。この時間に米の芯まで蒸気が回り、ふっくらと仕上がります。

  • ほぐし: 蒸らし終わったら、底から空気を入れ替えるように優しく混ぜます。

「縁結び」を土鍋で炊く際のコツ
水分量は「控えめ」が正解
縁結びの味を楽しむなら…
土鍋で炊いた「縁結び」は、まずは塩むすびでお召し上がりください。土鍋特有の強い甘みと、この品種ならではの冷めても持続するしっとりとしたモチモチ感を一番贅沢に感じられます。