早期湛水による抑草技術

技術提供 民間稲作研究所 稲葉光國先生
栽培指導 塩谷南那須農業振興事務所経営普及部 経営指導担当 室越先生

深水代かき浅水管理
2015年の有機栽培抑草技術の取り組み

移植の30日以上前に入水、5~7センチ以上の深水で代かきを行い、2センチ以下の浅水管理で水田内の稲以外の草たちの発芽を促し深水代かきで発芽した草を水面に浮かすことで抑草を行う技術です。

2015年4月20日入水
4月26から29日にかけて水深10センチの第1回目の深水代かき作業を行いました。

代かき終了後は水深2センチの浅水管理

5月12日から13日の2日間で2回目の深水代かきを実施

1回目の代かきから約2週間でコナギ、オモダカ、クログワイ、ヒエ等が一斉に発芽を始めています。

ここで深水代かきを行うと発芽した植物は一斉に水面に浮かんでしまい一部は畦に根を下ろしますがそのほとんどは10日後には田んぼの肥料となります。

2回目の代かき風景水深は10センチ
3回目代かき後7日目の圃場写真

植え代かき作業
農薬も化学肥料も使わない田んぼで水深5センチ以上で代かきをすると田んぼにいる生き物たちが作ってくれたとろとろしでふわふわな土が比重選でいちばん上側にのります、このふわふわな土が表層にたくさんあるとコナギたちは今年の発芽を断念したり発芽途中で枯れてしまうのです。そしてこの代かきを行うと発芽していた草たちは水よりも比重が軽いためにすべて水に浮いてしまいしばらくすると浮いた草たちは分解して田んぼのミネラル分となり作物たちの素晴らしい肥料となって循環して行くのです。有機の田んぼで代かきをするときはわらや前作の収穫残渣をすき込むための代かきではなく雑草を浮かして肥料とし、生物多様性が作ってくれたふわふわとろとろの土を使ったマルチを行うための代かきなのです。
生物多様性活用型農業は、生き物たち豊かな環境を人間と田んぼの生き物たちの協働作業から作り出す楽しくて地球が喜ぶ農業のスタイルです。


作業機ニプロWLS5500 PTO回転数570 エンジン回転数1750 代かきスピード時速2~3㎞/h

深水代かき終了後に今年は6月2日から移植作業が始まりました。